低炭素建築物とゼット・ゼロ・エネルギー住宅 パート3

今回で3回目です。

自分でもこんなに長く書くつもりはなかったのですが、書き出したら止まらなくなってしまいました。

前回は、省エネ基準の外皮平均熱貫流率UA値の話でした。
今回は、省エネ基準で新しく求められることとなった1次エネルギーと低炭素建築物の話です。
省エネ基準の詳しい説明はこちら

平成11年省エネ基準では、建物の断熱性能の基準が主だったのですが、今回の改正でエネルギー消費量の基準が加わります。

ちょっと話が戻りますが、外皮性能(断熱)の計算をするためには、結構複雑な計算をする必要があり、外皮計算をするためのサポートツールがあります。
そのサポートツールでは、1次エネルギーを計算するために必要な他の数値も計算してくれます。

計算結果です。

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「3計算結果」にいろいろと数値が出ています。
これを説明してると、パート10まで行きそうなので今回はやめます。
この計算結果は、1次エネルギー計算をするプログラムに入力することにより1次エネルギーが計算できるようになっています。

ちなみに、この計算結果は窓の種類や大きさ、各部位の断熱材の種類、厚みなどの変更すると、その都度簡単に計算結果が分かります。
仕様によってどの程度断熱性能が変わるのか、家全体のどこの断熱を良くすると効率よく全体の断熱性能が上がるのかがシミュレーションできて便利です。

1次エネルギーを計算するプログラムは決められていて、「住宅・住戸の一次エネルギー性能の判定プログラム」で求めなければいけません。

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このプログラムでは、先ほどの外皮性能の計算結果と、建物の地域や規模、暖房冷房方式、照明、給湯設備などを選択します。
そして、計算ボタンをクリックすると簡単に1次エネルギーが表示されます。
これは、とっても簡単です。
ただ、問題もあります。
ハイブリッドソーラーハウスなどの特殊なケースは全く計算できません。
まぁ 太陽熱利用した床暖房で、しかもコンクリートに蓄熱し、お湯まで沸かすわけだから大変な計算になります。
結局は、床暖房などの選択はせず、一般的な高断熱高気密の家でエアコン冷暖房をする条件で計算しました。

1次エネルギー計算の結果が下の画像です。

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基準1次エネルギー量と設計1次エネルギー量が表示されます。
基準1次エネルギー量は省エネ基準と低炭素基準が表示されています。
省エネ基準は、前回説明した地域によって決められた外皮性能(6地域はUA値0.87)と一般的な設備で計算されていて、低炭素基準はその-10%の数値になります。
設計1次エネルギー量はUA値0.46で暖冷房はエアコン、給湯は太陽熱給湯機(天日)を使用した計算結果です。

低炭素認定は、低炭素基準の数値をクリアしなければいけません。
画像でも分かる通り、低炭素基準の数値を大きくクリアしているので、これらの資料を基に低炭素認定申請を提出しています。

ふぅ~ とりあえず、低炭素建築物とは何かという説明は終わりです。

最後に、ちょっとした考察。

まずは、みなさんがしきりに心配している夏場のエアコンは、全体のエネルギー使用量からするととっても少ないのです。
そして、断熱とか頑張ったとしてもそんなに減らない・・・。
だから、夏場は家中に熱が蓄えられないように、上手にエアコンを使ってほしいと思います。
これは住宅の話で、事務所や工場などでは話が別です。
事務所や、工場などでは使用量が多いので節約は成果があると思います。

そんなことよりも、冬場の暖房と給湯の方がエネルギーとしてはとっても大きい。
削減効果もかなりのものです。
やはり、しっかりと断熱の効果が出るということです。
給湯に関しては、ハイブリッドソーラーハウスは天日を利用しているのでこちらの効果が大きいですね。

そしてもう一つの画像。

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これは、同じ家の計算結果ですが暖冷房のエネルギーが減っています。
何を変えたかというと、主たる居室の面積を変更しています。
主たる居室というのはLDKとそれにつながる空間です。
例えば、リビングに吹き抜けがあり2階に吹き抜けホールがある場合はその面積も入れなければいけません。
この計算プログラムでは、主たる居室を主に暖冷房するという前提でプログラムされているので、主たる居室が広ければ必然的にエネルギーを多く使う家になります。
逆に、主たる居室が仕切られて狭い場合はエネルギーをあまり使わない計算になります。
ハイブリッドソーラーハウスはどこでも寒くないのが特徴なので、LDKと廊下を仕切らず開放的に使用し、さらにはリビングに吹き抜けを作ってのびのびと暮らせるのを売りにしているため、プログラム上不利ですが仕方がありません。

計算上、エネルギーを使わないようにしたければ、LDKを仕切ってリビング吹き抜けはやめましょうヽ(^。^)ノ

最後に、この計算結果にはハイブリッドソーラーハウスの一番の特徴である太陽熱による全館蓄熱床暖房の効果は考慮されていません。

数値には表すことができませんが、実際にお住まいの方のお話では、省エネな家なのでランニングコストが安いと大変満足して頂いています。

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