低炭素建築物とネット・ゼロ・エネルギー住宅 パート4

前回までは、低炭素建築物の説明でした。

今回からはネット・ゼロ・エネルギー住宅(以下ゼロエネ住宅)の説明です。

ランクとしては、低炭素住宅の上位版ですね。
大まかな説明はこちらのパート1の下の方です。

まずは、断熱基準ですが4,5,6,7地域はUA値0.6以下にしなければいけません。
この時点で、少しハードルが上がりますね。
前回勉強した省エネ基準を見てみるとsyouenekijyunnti
3地域の東北が0.56以下なので、東北レベルの断熱性能を要求されていることが分かります。

そして、低炭素でも計算した1次エネルギー消費量を20%以上削減させなければいけません。

他には、暖冷房設備や給湯設備などは高効率のものを選ぶ事が義務付けられています。
必然的に、消費エネルギーは減るので設計1次エネルギーが下がり20%削減はクリアできることになります。

さらに太陽光発電が必須で、高断熱化や高効率設備の利用で削減された設計1次エネルギー消費量をすべて賄い、結果的にはプラスにしなければいけません。
いわゆる創エネというやつです。
ハイブリッドソーラーハウスの場合は、太陽熱も利用するため太陽熱コレクター(天日)が屋根に載っているので、太陽光発電をめいいっぱい屋根に載せられないのがつらい所でした。
そのこともあり、今回は建物の断熱性能をできるだけ上げて、エネルギー消費量を減らす努力をしました。

断熱性能を上げるといっても、いろいろな商品があり施工の問題、金額の問題、費用対効果、断熱性能の目標設定など、事前に検討する内容が多くそのことでも結構時間がとられてしましました。
最終的には、天井の吹き込みセルローズファイバーを230ミリ(熱抵抗値R6.2)、壁は柱を120ミリを使っているので高性能GW16K120ミリ(熱抵抗値R3.2)、窓は樹脂サッシアルゴンガス入りLow-eガラス(熱抵抗値R0.53)で決定しました。
この仕様で、外皮平均熱貫流率UA値0.44です。(北海道基準UA値0.46以下)
さらに断熱性能を上げるためには、外張り断熱をプラスしたり、トリプルガラスのサッシを使用したりと金額や施工の面でもかなりレベルが上がってしまうので、なかなかいい線だと思います。

このゼロエネ住宅は、とても大きなメリットがあり、国(経産省)からの補助金があります。
金額としては、一律130万円です。
これはおっきいですね。
決してけんちゃんが貰うわけではありません。
お客様がもらう補助金です。

こちらが、最終的な報告書です。

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もちろんいっぱいありますがそのうちの1枚です。
下の方に、年間の1次エネルギー消費削減量と削減率、発電を除く削減率が記載されています。
今回の計画では、123.4%の削減率でした。
ということは、23.4%の創エネということですね。
発電を除いても44.5%の削減率なので省エネ基準の住宅の半分しかエネルギーを使わない住宅だということが分かります。

前回も書きましたが、太陽熱利用の蓄熱鋳床暖房の効果などが含まれれば・・・

と 愚痴を書きましたが、うれしいお知らせが。

ちょうど、このタイミングで補助金決定の通知が届きました。
SIIの職員も、なかなか粋な計らいですね。
採択通知はこちら
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なんだか、けんちゃんの頑張りが報われたような気がします。

でも、これで終わりじゃなく、写真など大量に撮って完了報告をきっちりしなくては補助金がもらえないのが罠です。

低炭素建築物とゼット・ゼロ・エネルギー住宅 パート3

今回で3回目です。

自分でもこんなに長く書くつもりはなかったのですが、書き出したら止まらなくなってしまいました。

前回は、省エネ基準の外皮平均熱貫流率UA値の話でした。
今回は、省エネ基準で新しく求められることとなった1次エネルギーと低炭素建築物の話です。
省エネ基準の詳しい説明はこちら

平成11年省エネ基準では、建物の断熱性能の基準が主だったのですが、今回の改正でエネルギー消費量の基準が加わります。

ちょっと話が戻りますが、外皮性能(断熱)の計算をするためには、結構複雑な計算をする必要があり、外皮計算をするためのサポートツールがあります。
そのサポートツールでは、1次エネルギーを計算するために必要な他の数値も計算してくれます。

計算結果です。

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「3計算結果」にいろいろと数値が出ています。
これを説明してると、パート10まで行きそうなので今回はやめます。
この計算結果は、1次エネルギー計算をするプログラムに入力することにより1次エネルギーが計算できるようになっています。

ちなみに、この計算結果は窓の種類や大きさ、各部位の断熱材の種類、厚みなどの変更すると、その都度簡単に計算結果が分かります。
仕様によってどの程度断熱性能が変わるのか、家全体のどこの断熱を良くすると効率よく全体の断熱性能が上がるのかがシミュレーションできて便利です。

1次エネルギーを計算するプログラムは決められていて、「住宅・住戸の一次エネルギー性能の判定プログラム」で求めなければいけません。

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このプログラムでは、先ほどの外皮性能の計算結果と、建物の地域や規模、暖房冷房方式、照明、給湯設備などを選択します。
そして、計算ボタンをクリックすると簡単に1次エネルギーが表示されます。
これは、とっても簡単です。
ただ、問題もあります。
ハイブリッドソーラーハウスなどの特殊なケースは全く計算できません。
まぁ 太陽熱利用した床暖房で、しかもコンクリートに蓄熱し、お湯まで沸かすわけだから大変な計算になります。
結局は、床暖房などの選択はせず、一般的な高断熱高気密の家でエアコン冷暖房をする条件で計算しました。

1次エネルギー計算の結果が下の画像です。

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基準1次エネルギー量と設計1次エネルギー量が表示されます。
基準1次エネルギー量は省エネ基準と低炭素基準が表示されています。
省エネ基準は、前回説明した地域によって決められた外皮性能(6地域はUA値0.87)と一般的な設備で計算されていて、低炭素基準はその-10%の数値になります。
設計1次エネルギー量はUA値0.46で暖冷房はエアコン、給湯は太陽熱給湯機(天日)を使用した計算結果です。

低炭素認定は、低炭素基準の数値をクリアしなければいけません。
画像でも分かる通り、低炭素基準の数値を大きくクリアしているので、これらの資料を基に低炭素認定申請を提出しています。

ふぅ~ とりあえず、低炭素建築物とは何かという説明は終わりです。

最後に、ちょっとした考察。

まずは、みなさんがしきりに心配している夏場のエアコンは、全体のエネルギー使用量からするととっても少ないのです。
そして、断熱とか頑張ったとしてもそんなに減らない・・・。
だから、夏場は家中に熱が蓄えられないように、上手にエアコンを使ってほしいと思います。
これは住宅の話で、事務所や工場などでは話が別です。
事務所や、工場などでは使用量が多いので節約は成果があると思います。

そんなことよりも、冬場の暖房と給湯の方がエネルギーとしてはとっても大きい。
削減効果もかなりのものです。
やはり、しっかりと断熱の効果が出るということです。
給湯に関しては、ハイブリッドソーラーハウスは天日を利用しているのでこちらの効果が大きいですね。

そしてもう一つの画像。

enerugisyousaisyou-crop

これは、同じ家の計算結果ですが暖冷房のエネルギーが減っています。
何を変えたかというと、主たる居室の面積を変更しています。
主たる居室というのはLDKとそれにつながる空間です。
例えば、リビングに吹き抜けがあり2階に吹き抜けホールがある場合はその面積も入れなければいけません。
この計算プログラムでは、主たる居室を主に暖冷房するという前提でプログラムされているので、主たる居室が広ければ必然的にエネルギーを多く使う家になります。
逆に、主たる居室が仕切られて狭い場合はエネルギーをあまり使わない計算になります。
ハイブリッドソーラーハウスはどこでも寒くないのが特徴なので、LDKと廊下を仕切らず開放的に使用し、さらにはリビングに吹き抜けを作ってのびのびと暮らせるのを売りにしているため、プログラム上不利ですが仕方がありません。

計算上、エネルギーを使わないようにしたければ、LDKを仕切ってリビング吹き抜けはやめましょうヽ(^。^)ノ

最後に、この計算結果にはハイブリッドソーラーハウスの一番の特徴である太陽熱による全館蓄熱床暖房の効果は考慮されていません。

数値には表すことができませんが、実際にお住まいの方のお話では、省エネな家なのでランニングコストが安いと大変満足して頂いています。

低炭素建築物とネット・ゼロ・エネルギー住宅 パート2

さて、前回の続きです。

前回は大まかな説明をしましたが、今回は実際に何をしたのか、実務的な話を書きたいと思います。

まずは、低炭素建築物。

低炭素建築物を語る前に、省エネルギー基準(断熱基準)について語らなければいけません。
詳しく知りたい方はこちらの国交省のパンフレットを参照してください。

そもそも、日本の断熱基準はとても遅れているという話を以前しました。
過去記事:日本特有の「寒いのは当たり前文化」をやめよう!!

平成11年に次世代省エネルギー基準という断熱の指針が出ましたが、ただの指針で義務化ではありませんでした。
しかも、ゆる~い基準。
そして、平成25年からは新しい改正省エネルギー基準が施行されています。
今年の、3月までは移行期間で、4月からは完全に新しい基準での施行になります。
そして、あと5年後の平成32年からは完全に義務化されます。
義務化されるというのは重要なことですね。
この点は、私達からすれば当然の義務化なのですが、断熱を入れたくないという人には建築の自由は制限されてしまい、まだ検討が必要なことではあります。
日本も、少しずつ変わろうとしています。(まだ不十分ですが・・・。)

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何が改正されたかと言いますと、大きな所では、断熱性能の指標として床面積から算出していた「熱損失係数Q値」から、外壁や屋根、窓など外部からの熱的影響を受ける「外皮平均熱貫流率Ua値」となります。
このことで、建物の形に大きく左右されていた「熱損失係数Q値」より、正確に建物の断熱性能を表すことができるようになりました。
そしてもう一つ変わった点は、照明や暖冷房、給湯などの1次エネルギーでの評価も加えられました。

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けんちゃんとしては、新しい評価基準になって、はたしてサンクスの家づくりはどのくらいのレベルなのだろうとず~っと思っていたわけです。
でも、これはしっかりと腰を据えてやらないと結構大変そうだと思って先延ばしにしていました。
あわよくば、誰かがやってくれないかなぁ~ なんて・・・。
でも、どうせ5年後には義務化されるわけだし、今回いい機会をもらったので、腰を据えてやってやろうということで、チャレンジした次第です。

さて、その改正省エネ基準ですが、ただUa値と1次エネルギー計算をするだけではなく、もちろん基準値があります。
全国をの気候を考慮した8区分にわかれていまして、大雑把にいうと1,2が一番寒い北海道など、3が青森、秋田、岩手、4が山形、福島、新潟、長野など、5,6が東京、大阪、広島、福岡、熊本など、7が宮崎、鹿児島、8が沖縄という感じです。
大雑把に書きましたが、町単位までしっかりと区分されています。
その区分ごとに、クリアしなければいけないUa値があります。
熊本の6地域は、下の表から0.87となります。

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今回は、2件の計算をしましたが、0.46と0.44という結果でした。
地域でいうと1,2地域相当となります。
北海道基準ということですね。
まぁ 日本の断熱基準が遅れているので素直に喜べないのが罠ですが・・・。

ということで、これからはこのUa値に注目してもらうといいですね。

まだ、低炭素建築物の中の省エネ基準の話ですが、長くなるので続きは次回で・・・。

低炭素建築物とネット・ゼロ・エネルギー・住宅 パート1

長くなりそうなので、何回かに分けて書きたいと思います。

前回のブログでも紹介しました低炭素建築物とネット・ゼロ・エネルギー住宅ですが、今回は簡単に説明しようと思います。

まず、低炭素建築物というのは、名前のごとく二酸化炭素の排出量が低い建築物の事です。

現行の住宅の省エネルギー基準(断熱基準)の建物で、1年間に使用するであろう基準1次エネルギー(地域などを考慮)よりも、設計した住宅の設計1次エネルギーが、10%削減が見込まれる住宅の事を言います。
1次エネルギーというのは化石燃料の事で、家庭で使用する照明、給湯、暖房、冷房、換気などのエネルギーの事です。

もちろん、けんちゃんが勝手に低炭素建築物だよと言っても説得力はなく、検査機関に審査してもらい市の認定を受けなければいけません。

まぁ その書類作りが大変だったわけです。

じゃ~ なんで 大変な思いをしてまで低炭素建築物の認定を取ってるかというと、いろいろとお客様にメリットがあるからです。
税金の控除額の拡充や登録免許税の引き下げなどありますが、今最も大きいのはフラット35S(金利Aプラン)が10年間はー0.6%になるということです。
現在とっても低金利なうえに、さらに10年間ー0.6%なので、利用するしかないでしょう。
http://www.flat35.com/loan//flat35s/index.html

そして、もう一つのネット・ゼロ・エネルギー住宅は、上記で説明した基準1次エネルギーよりも20%削減して、さらに太陽光発電でによる創エネで賞味プラスにしなければいけません。
そして、使用する設備関係も高効率のものを使用しなければいけません。(エアコンや給湯器など)
さらには、断熱基準は東北の断熱基準レベル以上が必要です。

こちらも審査があり、書類作りが大変でした。

ネット・ゼロ・エネルギー住宅のメリットは、国の補助金が130万円も出ることです。
https://sii.or.jp/zeh26r/

とりあえずパート1は大まかな説明です。

太陽熱を賢く利用!!

久しぶりの投稿です。

ここ1か月は、新しいことへの挑戦で大変でした。
大変だったけど、結果としては私たちの建てる家が、とても優れているということを確認でき、とても満足しています。

この話は、後日まとめてブログで報告したいと思います。
簡単にご紹介すると
・低炭素認定住宅の認定申請作業
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/info.html
・ネット・ゼロ・エネルギー住宅補助金の申請作業
https://sii.or.jp/zeh26r/
です。

玉名の”介護をする平屋の家”は、1か月でだいぶ進みました。

とりあえず今回は、題名の「太陽熱を賢く利用!!」する方法です。

皆さんがご存知の太陽光発電は太陽の光を電気にする仕組みですが、ハイブリッドソーラーハウスでは、太陽エネルギー利用で昔から使われているローテクな「天日」を利用します。

ローテクとは言いながら少しは進化していて、天日のタンクにお湯を貯める方法ではなく、タンクは地面に置き、不凍液を熱媒にして循環させ、タンクの水を温めるソーラーシステムというものがあります。
ハイブリッドソーラーハウスは、後者のソーラーシステムを利用して、床暖房にも活用しています。
天日の良い所は、太陽の熱エネルギーをお湯や暖房の熱エネルギーにそのまま利用できるところです。
しかも、お風呂や暖房は直接恩恵を感じることができることも良い所です。
太陽の恵みを利用することで、年間の給湯と暖房エネルギーの約6割を太陽で賄うことができます。
これが結構重要で、年間の家庭用エネルギーの約2/3は給湯と暖房エネルギーです。
とってもエコで環境にも家計にも優しいシステムです。

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今回は屋根の上に載せる架台設置型

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太陽光発電の普及により、金具を支持する支持瓦も一般的になってきました。

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お客様のために、地球のため、しっかりと活躍してくれ!!